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Figma:クリエイティブなものづくりを応援するクリエイティブなソフトウェア


The Collectiveは、世界中のサービス先進企業のデザインプロセスやDesign Operationsなどの情報を日々収集しています。そして自分たちでもこれぞと思うツールを選定し、実際に使用することで、ワークフローに適したプロセスを確立しています。実際に使用して使い勝手が良いだけでなく、今後のポテンシャルにも期待が持てる優秀なツールをご紹介します。

The CollectiveのDesignOps のツールとして何度も紹介し、日本におけるコミュニティのエバンジェリストも務めるデザインツール「Figma」。Figmaは、Dylan FieldとEvan Wallaceの二人が共同開発した、リアルタイムコラボレーションができる初のデザインツールです。

オフィスワーカーは、GoogleドキュメントとOffice 365のおかげで、クラウドでの作業に移行し、共有ドキュメントで同僚と簡単に共同作業ができるようになりました。しかし、デザイナーは、このワークフロー革命から除外されていました。

そのデザイナーのワークフローはこうです。多数のデザインツールを使用してモックアップを作成し、ファイルにエクスポートし、Dropboxに保存してから、レビューのためにメールでファイルリンクを送信しする。関係者との多くのやり取りがあるため、ファイルのバージョン管理が複雑になるリスクが非常に高いものでした。

この問題を、共同創業者のDylan FieldとEvan Wallaceは、デザイナーがWebブラウザーでリアルタイムで共同作業できるツールFigmaを開発することで、解決しようとしたのです。

Figmaは、主にWebベースのアプリケーションのUI、UXデザイナー向けに、2016年にリリースされました。Googleドキュメントと同様に、複数のユーザーが 同時に1つのデザインファイルで作業できます。チーム外の人とモックアップを共有するのも簡単です。ファイルをエクスポートしてメールで送信するのではなく、リンクを送信するだけです。

発売から4年で、 Figmaは100万人以上のユーザーとSlack、 Twitter、Uber、Dropbox、New York Times、Microsoft を含む顧客を獲得しました。 サンフランシスコに拠点を置くこのスタートアップは、これまでに投資家から8290万ドルを調達しています。

そして今ではFigmaのユーザーは本国アメリカよりも、海外の方が多くなっています。世界中のデザイナーに求められるデザインツールへと成長しています。

Figma San Francisco Office
社員がおすすめする本とおすすめコメントが並ぶ(Figma San Francisco Office)

私たちはサンフランシスコのFigma headquartersにお邪魔し、Figmaのメンバーにプロダクトの哲学や、今後の方向性などのインタビューを行いました。

Interviewee:
Sho Kuwamoto, Director of Product, Figma
Thomas Lowry, Designer Advocate  Figma
Joey Banks, Design Advocacy , Figma

デザイナーのワークフローに革命を起こしたFigma

まずはじめにShoさんがFigmaにジョインいた経緯を教えてください。

私は25年間、システム開発のエンジニアとして、MacromediaやAdobe,Mediumなどを経験してきました。
私がFigmaに入った頃は、まだ正式にプロダクトをリリースする前だったので、だれも何をしている会社かを知らない秘密企業でした。その段階で私は創業者の二人と話をする機会があり、「共同編集できるデザインツール」と言うアイディアを大変面白い!と思ったのです。
今でこそデザインツールがコラボレーションできるようにしていますが、最初からコラボレーションを前提として開発されたデザインツールはなかったからです。
Sho Kuwamoto

Figmaが、デザイナーのワークスタイルを変えた革新的な点は?

ベータ版を公開する前に、知り合いのデザイナーたちに私たちのアイディアをどう思うかをヒアリングしました。これはとてもエキサイティングな経験でした。
私たちが最初に「皆で一緒にデザインできる、たとえばブラウザ上でデザインできて、他の人がそれを見てコメントを残せるとしたらどうだろう?」と言うアイディアを出したとき、デザイナーは皆怖がりました。「いやいや、皆に見せる前に、デザインを完璧にしなくてはいけません」と言ったのです。この反応をみて、私たちはプロダクトづくりを開始しました(笑)実は私も上司に作業途中をみられるのは嫌です。しかしここにイノベーションの種があると思ったのです。
そして2015年にベータ版をリリースし、アーリーアダプター企業である「Coda」にFigmaを使用してもらいました。
時間が経つにつれ、コラボレーションをしながらデザインをする重要性が明らかになっていきました。この「コラボレーション」と言う点がまず第一にFigmaの特徴です。

第2はデザイン組織(チーム)の仕組みとワークフローを変えた点だと思います。私たちはこんな仮説を立てました。すべての人が同時に同じ作業に取り組んでいた場合、同じ部品を使用すればはるかに簡単になるだろうと。
具体的には、デザイナーがデスクトップツールを使用している場合は、自分のライブラリがあると思います。 デスクトップから接続するサーバー上でファイルを送信するときには、これらのファイルを同期する必要があります。コメントを取得した場合にも同期が必要です。このやり方では煩雑で、バージョンが変わってしまうと言うリスクすらあります。

Figmaでは、例えば新しいボタンのデザインが完成すると、ライブラリにプッシュされます。新しいボタンが使用可能になっていることがチーム全員に通知され、誰もが使えるようになります。実際この機能により、デザインチームのワークフローの効率は格段に上がりました。私たちの仮説は正しいことが証明されたのです。

スタイルやコンポーネントを共有すれば、作業はより早く、簡単になります。つまり私たちはDesignOps をリードするキャプテンの役割に近いかもしれません。多くの人々の中に入って、彼らのためにいろいろな調整をするのは本当に大変です。ツールだからこそできることがあります。デザイナーはデザインを決めるだけでいいのです。
Sho Kuwamoto


Figmaを支えるユーザーコミュニケーション

他のツールと比較して、機能だけでなくFigmaのコミュニティのエンゲージメント(関係性)の高さ、対応の良さ、レスポンスの早さには感動します。私たちが日本でミートアップのイベントをしたいと相談したときにも、コミュニティマネージャーのクレアが、イベントに関する相談やお土産、ビデオレターの手配などとても手厚く対応してくれました。日本だけでなく、世界中にFigmaが認めるコミュニティが存在し、デザイナーをつなげるイベントが開催されています。

社員のほとんどがFigmaのファンであるからと言えるかもしれません。私もユーザーとしてFigmaに惚れ込み、ジョインしました。Joeyもそうですね。ユーザーであり、プロダクトに愛情と誇りを持っているからこそ、同じように思ってくれる世界中のコミュニティはとても大切です。
コミュニティを支援し、そして実際にユーザーの声をプロダクトに反映させていくと言うこと自体が、私たちの戦略の1つです。
Thomas Lowry

リリースノートをみてもそれは歴然です。週に一度はバグの修正や改善が発表されています。

Figma Releases
実際、リリースノートの改善点はユーザーのフィードバックから成り立っています。毎週木曜日に更新しています。私たちは、ユーザーからのフィードバックがプロダクトに反映されているかを非常に気にしています。全てのデザインツールもみな一緒だと思いますが。
優れたモーショングラフィックデザイナー、優れた3Dアニメーターやインターフェイスデザイナーになるために、みなソフトウェアを習得して、何百時間も使用します。実際に私がそうでした。
彼らデザイナーはソフトウェアを使うことが前提の上でキャリアを築いているので、ソフトウェアは彼らのタスクを達成するための本当の助けにならなければいけません。クリエイター側には、クリエイティブなソフトウェアがあることが重要だと考えます。
Sho Kuwamoto

私もデザイナーとして、Figmaをベータ版から使用しています。実際に日本語フォントのリクエストをしたら素早く対応してもらった経験があります。予想を超える新機能の開発の速さ、機能の良さからも、Figmaの「クリエイターを応援したい」というビジョンを感じます。

そう言ってもらえて嬉しいです。私は、人々が必要とするものに敏感に反応するには、何をすべきかということに関心を持つべきだと思います。
まず第一には、ひたすらよく話に耳を傾けることが必要です。 適切な人々から、フィードバックを得るのです。
その次に必要なのは、フィードバックから得たことを高速で実行することです。なぜなら、Figmaはウェブベースのソフトウェアなのですぐ更新ができます。
私は25年間ソフトウェアの開発をやってきましたが、昔はソフトウェアを書くのに1年半か2年かけ、それをCD-ROMに焼き、箱に入れて世界中の店舗へ送っていました。しかし、今はそんな時代ではないのです。
毎日自動でソフトウェアを更新できる現在の環境が、それは私たちが耳を傾けるという決断をしたのと同じように、とにかく早く反応することに徹していることにつながっています。
Sho Kuwamoto
ShoさんとJoeyさん

デザイン→コラボレーション→ワークフロー

Figmaの素晴らしい機能であるコラボレーションに関して、お伺いします。コラボレーションすることによって実現できるようになったことはなんだと思いますか?

短期的には、1つのファイルを共有することによって、イメージのズレをなくすことができます。調査する時間を短縮させ、すぐに次のアクションを起こすことを可能にします。
長期的にはもっと大きなプロジェクトで役に立つのではないかと考えています。大きなものづくりプロジェクトにおいて状況を把握するというようなときです。今までは各個人や部署までいかなければ何がどこまで進んでいるかわからなかったのが、全体を把握することができ、コメントによって質問したり意見したりすることができるからです。それはもちろんデザイナーだけでなく、プロジェクト全体の絵を把握したいと思っている人、デザインとは別の担当者である場合もあるでしょう。コラボレーション機能により、デザインツールが、まるでものづくりのプラットフォームのようになっていくのではないかと思っています。
Sho Kuwamoto

私もその通りだと思います。デザインはデザイナーのものではなく、いろいろな人の意見や要望によって変化していくものです。そして忘れてならない一番大事なことは、最終アウトプットであるプロダクトの品質です。

私は、Figmaが共同編集できるデザインのキャンバスである以上に、ものづくりのプロセスの一部になりつつあると思います。これは当初私たちが想定していた以上のことです。
デザインから開発にフェーズが移行した際も、ギャップを埋められるようなプロセスの一部にもなっているのではと思います。コードベースのツールのように、デザインのパーツもコード付きのコンポーネント化しておけば、エンジニアでも使用することが可能になります。役割を超えてコラボレーションしできれば、生産性は確実に上がります。
Thomas Lowry

今後のプロダクトの開発方針があれば教えて下さい。

もちろん、引き続きデザイナーを応援する驚くべき新機能は開発していきます。そして先日リリースしたAPI機能も増えていくと思います。
一方で大企業がユーザーとなり、エンタープライズ版の機能も充実させています。コアな機能はもちろん、個々の企業で拡張できる機能も盛り込む必要があるでしょう。今の有能な若いデザイナーたちが、Figmaのような優れたデザインツールを使用することで、彼らの能力をさらに開花させることにつながると思います。そうすることで、デザイン業界全体を、ソフトウェア業界を前進させていきたいと考えてロードマップを作成しています。
Sho Kuwamoto


日本でのFigmaの広がり

そして先日11月13日に、Shoさん、ThomasさんらFigmaのメンバーが来日。メンバーを交えてのMeetUpイベントが開催されました。

年内にも実装される予定の新機能のほか、今後日本へのローカライズに力を入れていきたいと言うFigmaのVP of Productからのお話もありました。また、Yahoo!、GoodPatch Anywhere、DelyなどのFigmaユーザーからの登壇で、Figmaを使用してのものづくりのプロセスや、コラボレーション作業に当たってのマインドセットなど、リアルな話を共有する場となりました。

定員の倍以上の申し込みがあり、東京だけでもFigmaへの関心の高さを実感する機会になりました。2020年はいよいよ日本でもFigmaが大ブレイクする年になりそうです。