WeWork

Good Service Design Series



ただモノを売るのではなく、「体験」という新しい価値を提供=サービスデザインしている国内外の企業をピックアップ。 サービスデザインにより、人々のライフスタイルに革命を起こしたポイントをご紹介します。

第五回は、23カ国に287カ所以上の拠点を有し、25万人以上の会員にコワーキングスペースやWeWork Commonsというコミュニティを提供している「WeWork(ウィーワーク)」。

「WeWork」は、不動産の高騰により年々悪化していくニューヨークのオフィス環境を変えると言うビジョンを持ち、2010年に創業しました。

2018年には日本でソフトバンクグループと合弁会社を設立し、現在東京を中心に拠点が拡大しています。コワーキングスペースを提供し、会員を募るだけのビジネスモデルにとどまらず、働き方に革命を起こしたと言われる「we work」。

人々のコミュニケーションを最重要視した、オフィスの新しい形を生み出している話題の企業です。

サービスデザイン:Create a world where people work to make a life, not just a living.

オフィスの環境は人生の幸福度に大きく関わっている

最近になって日本でも「働き方改革」が盛んに叫ばれるようになり、働く環境=オフィススペースの快適さが働き方にも影響を及ぼすと注目されるようになりましたが、「we work」は創業当初から、1日の大半を過ごすオフィス環境の重要性に着目していました。

オフィスの環境は仕事の能率を左右するのはもちろん、人生の幸福度に大きく関わっていると考えている「WeWork」は、自然光をふんだんに取り入れて、明るくおしゃれなインテリアとアート、そして開放的で充実したファシリティを備える共用スペースを世界中どのオフィスでも提供しています。

データを駆使したテック企業

実は、これらのスペースのテーブルの高さからソファを置く位置まで、すべてがデータに基づいて設計されているのです。

人間工学に基づいた科学的なデータはもちろん、全世界にいる「WeWork」のスタッフの動き方、設備の使い方のデータを独自で集積・分析し、ネガティブな点があればすぐに改善しています。

たとえばセンサー式のライトの点灯数から使い勝手のよい部屋、よくない部屋を割り出し、その要因を分析。ガラスを多用しているのは、明るい空間だとコミュニケーションが生まれやすくなるため。廊下の幅も、通常よりもほんの少し狭くして、すれ違う時に挨拶をしやすくしています。こういった点は、データを駆使したテック企業でもある「WeWork」。コラボレーションとオープンイノベーションを生み出す場所として、コミュニケーションがしやすい環境を日々突き詰めています。

WeWorkコミュニティから生まれるもの

では、ここまで力をいれている「WeWork」のコミュニティはいったいどういうものなのか?

「WeWorkはただのコワーキングスペースではなく、グローバルネットワークのコミュニティだ」と断言するように、各拠点ごとにコミュニティ・マネージャーを配置して利用者のサポートにあたり、個別の相談対応や多様なイベントの企画、ユーザー専用アプリでSNSを運用し、入居者間でビジネスが生まれることを推奨しています。

開催されるイベントは、ランチミーティングのような気軽な情報共有や助言のやり取りから、投資家や著名人を招いたセッション、ビジネスに直結するネットワークイベント、プログラミングを学ぶこともできます。さらにはリラクシング・ウェルネスを促す瞑想やスポーツ関連のものまであり、幅広く充実しています。

社内と社外との間に「WeWork」という3番目のコミュニティがあることで、スキルや情報が活発にシェアされやすく、新たな人脈が築きやすくなります。

採用に悩む大手企業にとっては「WeWork」が優秀な人材との出会いの場となり、逆に協業先を探すスタートアップ企業にとっては、カフェで隣同士になったところから話が舞い込んでくる可能性があります。

また、世界各地に拠点があるため、利用メンバーもグローバルで、海外進出を考える企業が現地の情報を収集したり実際に現地で働く人との協働もでき、人材と、物理的な仕事環境を合わせて探せるという他にはないメリットを生み出し、ビジネスコミュニティとして機能しているのです。

その証拠にスタートアップや個人事業主だけでなく、マイクロソフトやGE、HSBCなど、世界的な大企業もメンバーに名を連ね、日本でも大手企業が利用しています。

WeWorkは不動産業ではない、コミュニティサービス業だ。

コワーキングスペース×コミュニティから始まった「WeWork」ですが、その進化はまだまだ続きます。2016年にはアメニティが揃った賃貸住戸「WeLive」をニューヨーク・ウォールストリートでローンチしました。

入居者は、好きなときに月単位で、家具、ベッド、キッチン家電などが含まれている部屋を借りることができ、引っ越しにかかる余計な費用や公共設備をセットアップする必要もありません。加えてWeLiveの住戸では、ハッピーアワー、カラオケセッションといったコミュニティイベントを開催し、WeLiveアプリから探すことができるのです。

そしてこの秋には、未来の起業家を養成するための私立小学校「WeGrow」を設立します。

対象になるのは3歳から9歳までの子どもたち。プログラムでは、広大な農場で1週間のうち1日を過ごし、残りをマンハッタンのWeWorkスペースで過ごします。数学や読書など基本的なことを学ぶほか、WeWorkの従業員や顧客である起業家からビジネスレッスンを受けることができ、さらに農場経営から実践的なビジネスも学びます。

そのほかにも、ウェルネスとスピリチュアルと起業家精神を結びつけるジム設備、共同サウナ、ヨガクラス、コーディング・ブートキャンプを備えた施設「Rise by We」など、「We」ブランドの進化はまだまだ続きそうです。

“there are no lines between work and life or home and office.”
仕事と生活、家と職場に境界線はない
ーAdam Neumann(Co-founder & CEO @WeWork)